「電装関係チェック」
最近の車は、電装関係が「キモ」です。(^_^;)
マセラティに限らず、いたるところに電子制御部品が使われています。
各部品のコントロールユニット等を外して、バラしてみたはイイけれど・・・
「どこにテスターあてればイイの?」
となる事もあるかと思います。
で、今まで私が趣味で電子回路と付き合ってきた結果、身に付いた経験を書きます。
#今回はマセラティに特化していません。
[前提知識1]電源のプラスとマイナス
電源は、+と−があり、車は0v(−)と12-14v(+)で動いてます。
#バイクは6v、トラックとかは24v・・・
オートメカニックとかの自動車メカ系雑誌を読んでると「アース」というのが良く出てきます。
「アース」って何でしょう?(^_^;)
アースと呼ばれているのは、「−」で、
#電子回路の世界ではグランド(GND)と呼ばれます。
基準電圧の事で、マセも含めて、最近の車は「ボディ」はアースになっています。
ちなみに「接地」という言葉からきています「アース」は「Earth」で地球の事、「グランド」は「Ground」で地面の事です。つまり地面が基準電圧(0v)なのです。
「基準電圧っていったい・・・」
例えば車のバッテリ。「+」端子と「−」端子が付いていて、12vとなっていますが、「+」端子の電圧が12vなのは、−端子を0v(基準)として「+12v」なのです。
つまり、「−」というのは実体として存在してなくて、極端な事を言うと「俺がココを基準電圧にする」といったところが、事実上「−」という事になります。(^_^;)
では、1個1.5vの乾電池を2つ直列に繋いだとして、テスタで計ると何vになるでしょう?
(1)にテスタのマイナスを、(3)にテスタのプラスを繋いだとしたら、基準が(1)の部分になるので+3vですが、「俺は(2)の部分が基準だ!」と、(2)の部分にテスタのマイナス端子を繋げれば、(1)の部分は-1.5v、(3)の部分は+1.5vですね・・・
車は12vですが、12vと言うためには、それに対する基準(0v)が必要になります。多くの車では、ボディとバッテリの−端子が繋がっており、基準(0v)はボディとなります。
なので、「アースに落とす」というのは、たいていボディに接続する事を意味します。
#「私の車はFRPボディなんですけど・・・」という方は・・・(^_^;)
[前提知識2]線の色
「赤」と「黒」
#赤は血の色、黒は罪の色・・・ではありません(^_^;)
赤い線は「プラス」です。黒い線は「マイナス」(基準)です。
テスターを買うと、赤い線と黒い線が付いてくるかと思いますが、赤は「+」に黒は「−」に挿して使います。
車の配線に限らず、赤は電源ライン、黒はアース(GND)の事が多いです。またそうでない場合でも、経験的に、暗い色(青とか紺とか深緑とか)はアースだったり、信号線のマイナスラインだったりします。同様に赤系だったり明るい色(黄とか橙とか)だった場合は電源のプラスだったり、信号線のプラスラインである事が多いです。
#例えば、カーステなんかは、黒がアースで、赤と黄色が電源ラインですよね。
[前提知識3]電圧
車は12vで動いていますが、電子回路は一般的には5vで動きます。(最近のコンピュータは3vぐらいで動いていたりもしますが)
なので、コントロールユニット内のIC等は5v用が使われています。
5vの部品に12vをかけてしまったり、+と−と逆にかけてしまったりすると、「アッ」という間に壊れます。
5vというのも、基準電圧と比べて+5vという意味です。多くの場合、コントロールユニット内のアース(GND)はボディなどに繋がっています。ECUなんかはケースがアースになっていたりします。
さて、前提知識は、ここまでで、電子回路をチェックする方法。
何かのコントロールユニットが壊れたとしましょう。(^_^;)
私も含め、トーシロは回路図やブロックダイヤグラム(回路がどのように動くか書いてある図)などは持っていませんから、回路が正常に動いているかどうかのチェックはできないと思って間違いないです。
が、幸いなことに普通に使っている限り、ICやトランジスタ、抵抗、などといった基板上に載っている部品はそう簡単には壊れません。「部品は壊れていない」と願って作業を進めます。(^_^;)
[チェックポイント1]電源
回路上のパーツが壊れてないとしたら・・・「電気が来てない」と疑いましょう。
基盤むき出しの状態でコネクタを繋いで、基盤のいろんなところにテスターをあてて電圧を測れば一目瞭然ですが、それでは間違ってショートさせてしまったりすると危険なのでヤメましょう。
で、外した状態で、基盤のどの部分に12vで、どの部分が5vで、どの部分がアース(GND)なのかを見極める必要があります。
で、見極めの方法なのですが、
先にも書いたように、車は12vで動いていますが、電子回路は5vで動きますので、どこかで12vから5vに変換しています。
多くの場合は、コントロールユニット内で変換しています。
電圧の変換には「熱」を伴うので、変換部品には放熱板が付いている事が多いです。基板上に放熱板の付いた3本足ぐらいの部品があればおそらくそれが電圧変換の部品です。
一応この部品はICで「3端子レギュレータ」といいます。
#ICだからといってゲジゲジなわけではないのです。
つまり、このICに繋がっている線が「12v」「5v」「0v」となります。
でも、どの足が何vなのかわからないので、次に、12vや5vの流れていそうな部分を探します。
一番わかりやすいのは電解コンデンサです。コントロールユニットのようなデジタル回路では電源を安定させるために付いていることが多く。円筒形の部品で足が2本出てて、「10v
470μF」とか書いてあります。この場合「この電解コンデンサは電圧が10vまでかけられて、容量は470μFです」という意味です。電源ラインを見つけるのがメインなので、容量の方はどうでもいいのですが、電圧の方が重要です。
仮に10v耐圧の電解コンデンサだとしたら、その線に12vは流れないはずなので、おのずとそこは5vということになります。
電解コンデンサの2本の足のうち、どちらが+でどちらが−なのかは、電解コンデンサの側面を見ると「-
- - - -」と書いてあるほうが「−」ですので、その反対側の足が「+」つまり5vのラインであることが予想できます。
先の3端子レギュレータの足と導通チェックしてみて、繋がっていれば間違いないと思います。
12vも同様にして探します。電解コンデンサの耐圧が「16v」の物があると思います。
電解コンデンサの耐圧の場合「大は小を兼ねる」ので、もしかして5vラインにも耐圧16v品が使われてる可能性もあるのですが・・・
#同じ容量なら10vより16v品の方が高いのでそういう「無駄」は工業製品として、ないと信じましょう。(^_^;)
あと、アース(GND、0v)は、基盤上のプリント配線の中でも、基盤の周りだったり、他の線より太くなってる事が多いです。
さて、電源ラインがわかったら、各パーツ(特にIC)に電源が来ているかどうかのチェックです。
5vラインと、ICの電源ラインの導通をチェックします。
ICの電源足がわからなければ、とりあえず全足についてチェックします。5v動作のICならば必ず抵抗値が0(導通)になる足があるはずです。
逆に5vや0vに導通が無いのであれば、どこかで断線してる可能性があります。
ちなみに、「3端子レギュレータ」は、熱を持つのでけっこう壊れやすいです。
実際に繋いで見て、入力には12vが来てるのに、出力に5vが出ていなかったら、イカれてます。
交換しかないのですが・・・なかなかドンピシャ同じICは見つからないっス・・・
基盤から問題の3端子レギュレータを外して、秋葉原にでも持っていって、「コレと同じ、もしくは相当品ありませんか?」と聞くしかないですかねぇ・・・
#ちなみにお値段は、よっぽど特殊でないかぎり、500円はしないと思います。
#別の3端子レギュレータを付けるという荒業もありますが・・・(^_^;)
[チェックポイント2]クラック
基盤の電源ラインなどは、設計によっては、結構な電流が流れる部分があり、熱によりプリントパターンが剥離し断線したり、そもそものハンダ付け自体が不良でクラックが入っていたりすることがあります。
「目」に見える部分は目視チェックできますが、大き目の電解コンデンサなどが密集しているような基盤まで見えない部分などだと目視チェックできないので、テスタで導通チェックすることになります。大き目の電解コンデンサがあるあたりは電源ラインであることが多いのでなおさらです。(-_-;)
地道な作業になりますが、アマチュアは地道が命です。(プロは時間に制限がありますから、ユニットごと交換しますが・・・)
断線を発見した場合は、配線し直します。
[チェックポイント3]熱
電子部品はめったに壊れることはありませんが、壊れる時もあります。(^_^;)
普通、電子回路では、部品の表面を触って「あっちっち」となるほど熱くなる部品にはちゃんと放熱板を付けます。放熱板が付いていないのに電源をいれてしばらくすると、「あっちっち」となるような部品(IC、トランジスタ)がある場合、その部品はイカれてる可能性が高いです。
#交換となります・・・(^_^;)
仮にそれが、足が40本以上(あくまで目安)あるようなICだとすると・・・カスタムICである可能性が高いので、同じ物を個人で入手するのは不可能ですので・・・残念ながら泣く泣くユニット交換となります。
というわけで、思い付くままに書いてみましたが、やはり、「赤がプラス」「黒がマイナス」ということだけでも、車の配線を追いやすくなると思います。
電気系トラブルにぶち当たった場合、お役にたてば幸いです。