2001/11/10

 ジャンジャンと雨が降っている。(-_-;)
 そんな午前中、佐川急便で配達されて来た荷物があった。

 「ShamalのECU」

 もちろん、私がシャマルを買ったわけではありません。

 事の発端は、先日、四国でシャマルにお乗りのSatoさんにお会いした時、ちょうど、Satoさんのケータイに電話がかかってきた。
 電話を終えたSatoさん。開口一番。

 「私のシャマル、部品取り車になってしまいました。(^_^;)」

 ですって。
 話を聞けば、同じく四国でシャマルにお乗りのTAKEさんが、車の調子が悪くて、ショップに修理に出したところ、「どうやら原因はECUらしい」というところまで来て、試しに正常なECUを付けてみるという事で、SatoさんのECUを取り付けてみる・・・という電話だったらしい。
#後日、聞いた話では、ECUを交換したら絶好調になったらしい。

 その時、シャマルのROMって結構種類があって、Satoさんの物は、ガレージ伊太利屋で「対策版」と呼ばれるROMに交換されている等のお話を聞いた。
 で、ROMデータ吸い出しの話題が出て、

 「ECU送っていただければ、吸い出せますよ」

 ということで、今手元には遥々四国から送られてきたShamalのECUが2セットある。

 一つはSato号の片バンク分、もう一つは、TAKE号の調子が悪いバンクの物。
 目的は2つ。

  ・これらECUのROMデータをそれぞれ吸い出す事
  ・TAKE号ECUの不具合点をチェックする事

 前者は楽勝だけれど、後者は「とりあえず見てみます」というレベル。
#実車も無ければ、ECUコネクタの配線図も無い状態では、おのずとチェックできるレベルは知れてます。(^_^;)

 で、届いたECUを見てみると、型名は「IAW04C」とある・・・おやまぁ、222のインジェクションECUと同じ型名っすね。
 222とシャマルでECUの中身が同じわけないから、違いを判断するには、「IAW04C」までではなくて、その先の番号まで見ないといけないって事ですか・・・(-_-;)

 早速、TAKE号ECUの蓋を開ける。
 基板上の部品は、どれもこれもキレイな状態ッス。

 「これでは何がイカれてるのか見た目では判断できないなぁ(-_-;)」

 にしても、222が製造され始めたのが88年、シャマルが90年・・・2年しか違わないのに、えらく進化してますなぁ。CPUはPLCC(QFJ)だし、ゲートICも全部フラットパッケージ・・・
#CPUはモトローラの組み込み向け8bitMCUで6811のHC版

 イロイロ観察してみると、電源用ICはSTマイクロエレクトロニクスのL4947、パワートランジスタは、BDX53Nが6個なので、インジェクタ用が4つと、IGコイル用が2つだと思う。

 などと思いつつ、半田面の蓋も外すと・・・

「うっ、こりゃぁヒドいわ・・・」

 コネクタ近くに、酷く焦げた跡がある。
 蓋側にまでススが強力に付いていた。

 元の部品が何だったかもわからない程、強力に焦げているので、もう一つのSato号ECUの蓋を開けて確認してみると、どうやら、焦げた部分にはチップデバイスがあったようだ。

 正常なSato号ECUにテスタをあてて、焦げ周辺の配線状況を調べつつ、焦げてるTAKE号ECUと比べてみると、焦げたチップの片端側の基板配線が断線していた。
 この断線部分は、直接コネクタに繋がっているので、この部分につながっているデバイスからの信号はECUに通じてない事になる。

 もし、この先がセンサだとすれば・・・入力が無くなるんだからそりゃ調子悪くなるわなぁ。加電流でも流れたのか?

 チップ抵抗の片側(コネクタではない側)は、アースラインに接続されているので、抵抗だとしたらプルダウン用の抵抗だろう。
 もし、コンデンサだとしたら、ノイズ除去用か・・・でも、チップタイプで且、なにも書いてないので、見た目では、「抵抗」なのか「コンデンサ」なのかわかりまへん。ヽ( ´ー`)丿

 なんせ、正常な方のチップデバイスを取り外して測って見ないと判断できない。

 ちゅーわけで、一応この時点でSatoさんに電話。

 私:「もしもしぃ、・・・・・カクカクシカジカ、こーいう訳なんですけど、SatoさんのECUからチップ抵抗外して測ってもイイですか?」

 Satoさん:「ぜんぜん構いませんよ。思う存分チチクリ回してやって下さい。」

 なんという寛大な・・・というわけで、Sato号ECUから、問題のチップデバイスを外す。

 チップデバイスってヤツは、ヤッカイです。ハンダ吸取り気が使えない上、両端のハンダを同時に溶かさないと外せないッス。
#その上、このECU基板は、ハンダ面が「フニャフニャ透明樹脂」コーティングされていて、ハンダを溶かしにくくなっている。
 というわけで、二刀流。
 左手に20Wのハンダゴテ、右手に15Wのハンダゴテを持って、チップデバイスの両端のハンダを溶かして素早く取り外す。

 で、普段使ってる安物のデジタルテスタで測って見たら・・・「ん?抵抗値が無いな」・・・ちゅー事は抵抗ではなくてコンデンサって事か・・・安物デジタルテスタではコンデンサの容量は測れないので、引き出しの奥から、普段使っていないアナログテスタを取り出す。
 コレは私が中学生の頃、親にネダって買ってもらったもの。
#なんで激古いっす。(^_^;)

 私の持ってる計測器の中では、珍しくマトモな物で、、テスターメーカーの大御所「sanwa」の製品で、当時の一般向けアナログテスターの中では上から2番目の製品なので、結構高機能。コンデンサの容量測定も可能だ。

 電池がある事を確認して、外したチップコンデンサの容量を測ってみると・・・「0.01μF」

 容量も判ったので、あとは外したチップコンデンサはSato号ECUに戻して、TAKE号ECUは断線を修復して、0.01μFのセラミックコンデンサを付ける。
#チップタイプは手持ちが無いので、フツーの積層セラミックコンデンサ

 これで、一応は焦げた部分に関しては、修復できたはずだけど・・・コンデンサは直流を通さない、このコンデンサが焦げたって事は両端に過電圧が掛かったって事で・・・そーすると、焦げたコンデンサの先にあるECU内のデバイスも無事では無いよーな気がとってもする・・・

#月曜日、TAKEさんからメールがあり「残念ながらダメでした」と・・・うぅ、ガックシ。(-_-;)

 できるだけの事はやったので、次に本来の目的である、ROMデータの吸い上げを・・・

 使われているROMは27C256/200。このサイズまでなら、ウチのROMライタでも読み書きできる。
 ちなみに、TAKE号ECUのROMには消しこみ防止シールに「FCFC」と書いてあり、Sato号ECUのROMには「65E5」と書いてある。ROMに書くの品番にしては変なのだけれど、この「FCFC」や「65E5」はケースにも書いてある。(上の方のラベル写真参照)
 Sato号ECUのケースの記述は、「ROMがガレイタで交換された」の言葉通り、「FCFC」が二重線で消してあって、その下に「65E5」となっているところを見ると、元はTAKE号と同じROMだったのだと想像できる。

 データの中身を見てみると・・・「あれま、結構違うのねぇ」・・・プログラム部は沢山、データ部も所々違う部分がある。

 プログラムの違いによる「動作」の違いを調べるのは、かなり難儀な感じ。深追いはしないでおきましょう。